【読書感想文】日本の歴史をよみなおす(全)

『日本の歴史をよみなおす(全)』網野善彦/筑摩書房/2005

 

「日本の歴史をよみなおす」「続・日本の歴史をよみなおす」の2編よりなる。


特におもしろかったのは、賤民に関する捉え方と、百姓の考え方である。


賤民は、神の奴隷として、一般社会から切り離された存在として位置づけられていた。しかし、神の権威が落ちるに従い、賤民としてのみ取り扱われるようになったものである。かつては、たとえば物は人と不可分一体であるから、市場は人と物を分離してしまう場所として、神に仕える者たちが取り仕切っていた場所である。また、辻は世俗と切り離された場所であり、そこで起こった犯罪行為は見逃されるということもあったという。
こうした状況を鑑みれば、昔授業でやったときの賤民の捉え方は、その状況を後世から一面的に捉えただけであって、その時代時代では、我々の考えるような賤民のイメージとはかけ離れている可能性があることを、想定に入れておく必要がある。

また、百姓については、日本の農本主義からイメージされていたような、「百姓=農民」ではない、という指摘が興味深い。特に、関東平野に広がる田圃を見て育った身からすると、そもそも山や海が身近にないため、※が作れない土地がほとんどであるということを、数字として知っているとはいえ、実感がないのである。だが、日本が海に囲まれ、川に分断されていることを考えれば、確かに漁民や、海運業が発達しているのは当然とも言える。「百姓」という文字だけ見れば、「百の姓」、一般の人々なのである。農民のみならず、漁民や商工業に携わる人々も百姓に勘定してみなければ、中世日本の状況を的確に捉えることはできないという著者の指摘はもっともである。

農本主義は、この本によれば非常に根深いものであって、租調庸の時代から、米が中心であった。泊・津など、海辺の村では、米がとれないことから、貧しい村であったと考えられていたのは、政府が米を中心とした租税制度を構築しており、米に関する書類は丁寧にとっておかれたからではないか、漁業や塩業などの書類は、政府に提出するものではないから、裏紙として使用されているため、裏襖などに使われているらしい。これに関しては、現在の感覚からいってもさもありなんというところで、仕事をしていても、役所に提出する書類は後生丁寧に取ってあるのである。

この本により、中世日本に関するイメージはだいぶ様変わりした。もう少し、詳しく勉強してみたい。

東寺 空海と仏像曼荼羅

特に気になったものだけ。

 

いくつかの曼荼羅図が展示されていた。両界曼荼羅図(甲本)は、両界曼荼羅(西院曼荼羅<伝真言曼荼羅>)の写しであるが、すでにぼろぼろとなっていた。修法で使われたためという。近くで曼荼羅の内容について動画で紹介していたが、本当に多くの仏が一同に会している。普段は大日如来に気を取られていたが、こんなにたくさんいるのだなぁ。

 

また、印象深かったのは第2会場の三次元曼荼羅である。仏像を曼荼羅のように並べることで、立体的に味わうことができる。持国天立像はたたずまいがとても格好良くて、張り出した眼が仏の世界を守る強い意志を表している。

 

個人的に少しつらい気持ちになるのが、十二天像が鳥羽院の一言で作りかえさせられたということ。上司の無体な一言で、精魂込めた作品がむげにされるのってとても悲しいことだよね・・・。

 

今回の東寺展は、かなり入れ替わりが激しいので、興味があるものがあればそれをねらっていった方が良いかも。

 

これだけ写真に撮って良いと言われたので、帝釈天騎象像を載せますね
f:id:taras_saco:20190412140824j:image

 

2月1日~2月3日 京都旅行

備忘録

■2月1日
新幹線にて京都へ
ホテルに荷物を預け、お昼ご飯にたか松へ。つけ麺のお店。女性も多い。隣の女性がすごく時間をかけて食べていたので、先日見た相棒の「ターゲットが来たタイミングでニンニクに毒物を入れ席を立つ」というシーンの再現か?と妄想してみる。

 

この日は京都を大回りしようと思っていたので、まず二条城へ。障壁画を座ってみられるという趣向がおもしろかった。目線が変わるだけで迫力が段違い。天守閣跡に上ってみると、ほとんどが外国人である。元々外国人観光客は多かったが、聞きしに勝る多さである。

 

バスに乗って京大へ行く前に、西陣織会館があったので途中下車。着物や帯等にランキングをつけるイベントをやっていたので冷やかしてみたが、場違いで気後れする・・・。みなさん良いお着物を来ていらしてまぁ・・・。アンケートに答え、抽選で西陣織の鏡をいただく。かわいい。

 

バスで東へ向かい、出町ふたばの豆もちとお汁粉を購入。豆もちはデルタで食べた。せわしなく京都を観光するのも良いが、こうしてぼんやりする時間が大事。そういえば、京都のお汁粉って葛湯のことなのかな。関東で言う「お汁粉」とは全く違うものだった。

 

京大へ行ったら、構内をバスが行き来して驚く。警備員さんがずっとバスの誘導をしている。慣れきっているから平時からこの状態なのか・・・。疲れたのでカンフォーラでコーヒーを飲んでいると、後ろの席の、大学院生だろう人が知的な会話をしており、こういう空間にいられたこと自体ありがたいことだったんだなぁと感慨深い。

 

いったんホテルを戻り、後輩と食事へ。元気そうで良かった。ちょっと会わないだけで、みんないろいろと状況が変わってしまうのだなぁ。

 

2件目でワインをいただいて、この日は終わり。

 

 

■2月2日
京都に来たらモーニングに三条のスマートコーヒーでホットケーキを食べるのが好き。朝が早すぎたので、途中仏光寺を訪問。「これがあの!」とコナンを思いだしたが、素晴らしい建物だった。朝の京都の空気はとても清涼で、そしてとても寒い。

 

いい時間になったのでスマートコーヒーへ。すぐに入れるかと思ったが、ここも人でいっぱい。外国人も多い。大通り沿いという訳ではないから、パンフレットか何かに載っているのだろう。相変わらずホットケーキがおいしかった。

 

建仁寺に行こうとしたのだけれど、時間が早かったため、途中で興味を引かれた京都市学校歴史博物館へ。先輩から番組小学校についてお話しいただいていたが、明治の世の中で先進的な教育が行われていたということがわかっておもしろかった。小学校教育の中で美術に力を入れており、多くの美術家を排出したことから、小学校に美術品が多く所蔵されているらしい。収蔵数が多く、ここで午前中は時間切れ。いったんホテルへ戻って結婚式へ。

 

ヘアアレンジをしてもらい、いざ結婚式会場へ。鮒鶴京都鴨川リゾートでの結婚式だったが、建物が重要文化財らしく、古いエレベータを使えたのがうれしかった。

 

結婚式が終わった後、二次会でもするかと、bar ロッキングチェアに。ちょうど開店10周年で、43年もののウイスキー等いただいた。すごく雰囲気の良いお店であった。ホテルまで歩いて戻ってこの日は終わり。

 

 

◼️2月3日
朝ご飯は近くにある高木珈琲本店で。おじいさん二人で捌いており、地元の良い喫茶店という感じである。窓際は寒かった。次からは奥側に座ろう・・・。この日は午後東京で予定があったため、11時半がリミットである。

 

智積院に向かう前に、市比賣神社へ。場所がわかりづらいが、赤々とした鳥居がとてもかわいらしい。朝早すぎてだれもいなかった。

 

そのまま歩いていると、「眼科・外科医療器具歴史博物館」が。なんでも博物館にするのな。その隣はかの有名な山内任天堂の建物である。ここかーと写真をたくさん撮ってしまった。

 

さて、いよいよ智積院である。庭園も素晴らしかったが、やはりここは長谷川等伯の障壁画を推したい。楓図は、おそらくもっと華やかな色味であったろうが、それでも豪華絢爛であった。美しい・・・。同時並行でミュージカルのチケット購入チャレンジ中だったためとても忙しかった。

 

さて、新幹線の駅で慌ててお土産を購入して東京へ。お疲れさまでした。

10月5日 最終日、ブリュッセルへ


昨日、友達から「今日見たワッフルの店、朝早くからやってるよ」と教えてもらったので、そこをスタートにベッタベタなブリュッセル旅行をする。


朝、片づけをしながら支度をしていたら、いつもよりゆっくりの朝となってしまった。友達をの出社を見送って、いざブリュッセルへ。


友達に貸してもらったMobibは、市内のメトロ、トラムやバスに乗れるICカードである。事前にチャージして使用するが、一定時間までは追加なしに乗ることができる。駅やバス内にある赤い機械にタッチすることで使用可能。チャージは駅にある「GO」と書かれている機械でできる。


友人の住むエリアは日本人も多くいるそうで、トラムにも見られた。目の前にいたベビーカーの男の子は、音の出る絵本で遊んでいたのにお母さんに音を消されてしまいご機嫌斜めである。どちらかというと、「わー音が出るねー」という反応がもらえないことに不満であるようにも見える。かわえぇ・・・と思っているのもあっという間で、メトロに乗り換える。メトロはスリが多いと聞くが、座ってしまえば特に何もなく、セントラル駅へ着いた。

 


f:id:taras_saco:20181016205852j:image

さて、まずは昨日も行ったグランプラスを目指す。目的としたワッフル屋さんは広場近く、取材も多いところで、なんと朝7時から開店しているとのこと。まずワッフル屋さんに行く。どうもやる気がまだないらしく、愛想と言うものは皆無である。こんなものやろ、とワッフルとコーヒーを頼む。こちらの四角いワッフルはあまり味がついておらず、いろいろとトッピングして楽しむものである。一方、今回行っていないリエージュのワッフルは、甘い味のしっかりする、それだけでも食べられる丸いワッフルである。生クリームとフレッシュフルーツを乗せたものをもらったが、見た目に反し生クリームがあっさりしていて、ぺろっと平らげられた。


f:id:taras_saco:20181016205826j:image


f:id:taras_saco:20181016205801j:image


お店で見ていると、店員は常連客とは楽しそうに話している。楽しそうでいいなぁ~と思ったが、まぁ別にどうでもよい、と会計すると、なぜか店員テンションアゲアゲである。「Cash?Card?Cash?Card?」と宇ザがらみがひどい。楽しい。


お店を後にし、次の名物小便小僧を目指す。途中に「触ると幸せになれる像」があったので一応触っておくが、状況がなんだか不幸せそうなので、この人の幸せを祈らずにおられない。


f:id:taras_saco:20181021095035j:image

 

一方小便小僧はいつも通り幸せそうな顔をしているので対比がすごい。今日のイエローはなんだろうか、目に鮮やかだ。年間1/3くらいは何かの服を着せられているそうで、その先にある衣装博物館にはワードローブが飾ってあるそうだ。


f:id:taras_saco:20181016205957j:image


先へ進み、本日のメイン、芸術の丘である。王立美術館は、今回の旅であらかじめ見ておきたいとチェックしていた。


f:id:taras_saco:20181016210038j:image


f:id:taras_saco:20181016210132j:image

 

ただ、芸術の丘に来たが、建物が大きすぎてどこから入ればいいのかわからない。とりあえず見えた入口(どうもマグリッド美術館の入口だったらしい)で、王立美術館のうち、古典美術館、現代美術館、マグリッド美術館の3館に入れるチケットを15ユーロで購入した。


時代順に、と思い、まずは古典美術館に。古典美術館は13世紀~17世紀の絵画が置いてある。ここには日本人観光客もいて、なにやら話をしながら進んでいるがスルーする。私はあまり詳しくないので、解説の付いている絵画を中心に見ていく。これだけ長い期間の絵画がひとつの美術館にまとまっていると、時代ごとの絵画の描き方に大きな違いが見られておもしろい。宗教画が人物画、静物画に続き、絵画の中の絵画、というメタ視点の絵が出てきたときには、興奮が止まらずにやにやしてしまった。


f:id:taras_saco:20181016210105j:image


次に行った現代美術館では、オステンドで見なかったアンソールの絵画が見られたことが良かった。奇抜な絵が特に着目されるが、丁寧に生活を描いている絵もあり、もう少し深堀りしていきたい気持ちとなった。


f:id:taras_saco:20181021095227j:image


一方マグリッド美術館はよくわからなかった。ここまでつきすすんでいると何がどうなっているのやら全くわからない。素描はまるで小学生の落書きである。何をどうしたらこういう仕上がりになるのか、ベルギーの人ならわかるのだろうか。よくわからない。


f:id:taras_saco:20181016210311j:image


解せぬ気持ちを抱えたまま、芸術の丘を後にする。楽器博物館も見ようかと思ったが、ディナンで満足したので、グランプラスに戻る。お昼の時間をとっくに過ぎていたので、食べるところを探すが、グランプラスはとても混んでいるしそこそこ値段もする。昨晩のお店のあたりは1430までのところが多く、時間も微妙である。結局、友達へのお土産を見つつ、カルフールエクスプレスでサンドイッチとReffeを購入し、グランプラスでぼんやりと食べることにした。


今日は本当に暑いなぁ、まぶしいなぁと思っていると、隣にフランス語を話すおばあちゃんが「ちょっとここいい?」と座った。「何食べてるの?」「どうしたの?」と(多分)聞いてくるので、持ちうる限りの英語とボディーランゲージを使ってお返事する。洋服やアクセサリーからすると、スリという感じもしないが、こっちに来てから最も近づいてきた他人である、安心することはできない、と貴重品に気をつけながらご飯を食べていると、知り合いが来たらしく、おばあちゃんは去っていった。


とても暑い日で、ビールも飲んでいい気分になっていたので、予定より早いがお土産を購入して帰ることにする。先ほど行ったカルフールの途中に友達が教えてくれたGONDOYというお店があったのでそこでクッキーを買い、LEONIDASで友達へチョコレートを買う。最後にカルフールリエージュワッフルと自分用にビールを購入して仕舞いである。

 


f:id:taras_saco:20181016210415j:image

メトロでホームを間違えるということもあったが、無事乗車する。ただ、ビールががしゃんがしゃんと音を立ててしまい、そのたびに恥ずかしい思いをした。メトロからトラムに乗り換え、友達のおうちにたどり着いたが、周りは同じような建物ばかりで迷ってしまう。おそらく日本人の夫婦が近くにいたが、不審な目で見られてしまった。


無事、おうちにたどり着いて一息、汗を流させてもらい、ビールを飲みつつ最終の片づけをする。こんなに広く、すてきなおうちと今日でお別れかと思うととても名残惜しい。そうこうする間に友達が帰ってきたので、空港まで送ってもらう。空港のエレベーターから降りるときには、子供がお母さんに「ジャポネー?」と聞いていた。「ジャポネーやで~」と話しながら空港へ。荷物を預け、友達としばしのお別れである。また会いに来たいなぁ、と寂しい気持ちである。


さはさりながら時間もあるので検査、出国審査を終え、飛行機へ。飛行機では、CAさんが優しく話しかけてくれたり、目の前のおじいちゃんにウザがらみをされていたりしていたが、ほとんどを寝て帰ったために記憶がほぼない。


気づけば成田。あっという間の旅だった。


歓待してくれた友人、とてもありがとう。これほど楽しい旅になったのは君のおかげだ。また行きたいなぁ、という気持ちでいっぱいである。

10月4日 ルクセンブルクへ



今日はボンからルクセンブルグへ行き、ブリュッセルに帰る予定である。6時間くらいは電車に揺られている予定であるので、本日は朝早くから活動を予定している。


朝、6時半に起床し、明るくなってきた7時半にチェックアウト。まだ少し暗さが残っていたが、同じタイミングでホテルを出た集団と同じ方向へ進んだため、安心して歩くことができた。昨日、歩くのをためらった理由の一つに、近くに旧墓地があったこともあるのだが、明るくなってみればなんと言うこともない墓地である。


市街地に入ると、だんだんと人通りが多くなってくる。まずは、朝市のあるMarkt広場を目指す。歩いていると、広場が見えてきた。ベートーベンの像があり、実に立派な広場である。


f:id:taras_saco:20181021095445j:image

 

朝市らしきものはないが、今日はお休みなのだろう、それよりも昨夜からチョコレートしか食べていないため、いそいそと広場前のカフェに入って本日の予定を立てる。


f:id:taras_saco:20181016204430j:image

 

そこでやっと気づいたのは、ここは目的の広場ではないということ。まずはボンからの電車の時刻を確認し、Markt広場を見に行っても十分間に合うことを確認する。店を出てしばらく進むと、HARIBO Storeが見えてきた。友達と来たらここに寄りたいと話をしていたなぁ、まだ時間前で開いていないため残念ながらスルーしようと思う。しかし、HARIBO Storeは目指す方向にはない。慌てて元来た道を戻り、Markt広場に到着した。


f:id:taras_saco:20181016204511j:image

 

確かに朝市がある。道路の一部が広がったような、あまり大きくない広場である。ボンは、そこまで見るものはないのかも知らん、と駅まで戻ることに。


さて、昨日は怖いと思った駅であるが、何ともないところであった。おそらく、U-Bahnからの地上出口に水がたまっていて、清潔な感じがなかったのが大きな原因のようだ。


何はともあれ切符を買わなければならない。2つ並んでいる券売機のうち、空いていた古いほうの機械を操作する。しかし、駅名で「lux」を検索しても出てこない。3度ほど試したが変わらない。駅員のいる場所を探すもそうした案内所はない。もう一度券売機に戻り、今度は新しい方を操作すると、「国外」のタブが。こちらから検索すると、「luxembourg」が見つかった。これで一安心、と出てきた切符を手に、ホームへ向かう。


f:id:taras_saco:20181021095557j:image


まず、ICに乗ってKoblenzへ行き、そこからREに乗り換えLuxembourgまでおよそ3時間の道行きである。しばらくすると、車内検札の車掌さんが来た。先ほど購入した切符を見せると「これは切符ではなくレシートだ」とのこと。いやいやそんなそんな、と改めて見るとno validの文字。昨日ケルンからボンまで購入したものと確かに大きさは違うのだが、国外に出る場合には違う切符が出るものと思っていた。切符は券売機に忘れてきたのであろう、どうにももう一度買う必要があるらしく、私の55ユーロは宙に消えた。よっぽどの顔をしていたのだろう、車掌さんはボックス席の前に座り、どこから来たのか、どこへ行くのかいろいろ聞いて慰めてくれた。

 


KoblenzでREに乗り換えると、先ほどのICと違い2階立て車両である。最初、1階に席を取ったが、2階の方が楽しそうだったので、途中で席を変えた。2階の席の埋まり具合は6割程度といったところで、適当な席に着くも、窓枠で外の景色が十分楽しめず、別の席に再度移る。車両一番後ろの、足下に段差のある席で、非常に快適である。こちらの座席は少し高くて、足がきちんと付かず、疲れてしまう。しばらくするとTシャツとジーンズの車内販売員が来たので、コーヒーを頼む。同じような景色を横目に見ながらぽちぽちと日記を付けていると、スペイン人の家族が乗車してきた。席が足りないようだったので譲り、別の席へ。前の座席の女の子がこちらをのぞき込んできた。どうやらアジア人は珍しいようだ。取って食ったりしないよ~と笑顔を返すと顔を引っ込めてしまう。だんだん飽きてきたようで、ABCの歌を歌い出すが、何語なのかぜんぜんわからなかった。

 


f:id:taras_saco:20181016204650j:image

さて、いよいよルクセンブルグに到着した。駅舎はきれいで、人もたくさんいた。まずは、とトイレに行くと、ここではあらかじめ0.7ユーロを券売機でトークンに換え、それをターンスタイルゲートの投入口に入れるスタイルである。券売機はお札も使えるタイプのため、自動化が進んでいるということだろう。ベルギーでは入口に人がいて、お金を払うことが多かった。ここにも人はいたが、主に券売機の説明をするためであった。自動化されているのか?


さて、荷物を預けようかとも考えたが面倒くさい。駅を出て道を進む。ルクセンブルクは建物が大きい。おそらく、このエリアは京都で言うところの七条くらいで、中心部からはずれたところに駅ができたということであろう。また、金融国家であることもあり、銀行系がとても多かった。

 


f:id:taras_saco:20181016204716j:image


かなり暖かい日で、アドルフ橋までに少し汗ばむくらいだった。ここまで来ると、グルントといわれる低地部分と城塞の様子がはっきり見て取れる。来るものすべて拒むような高い砦は、10世紀に築き上げられたものだということだ。

 


f:id:taras_saco:20181016204741j:image


まずは憲法広場へ。立憲君主制国家であり、唯一の大公国であるとのこと。


f:id:taras_saco:20181021095713j:image


f:id:taras_saco:20181016204825j:image

 

ここから美しい眺望が広がり、多くの人が写真を撮っていた。まずはインフォセンターで地図をゲットし、大公宮へ。夏の間は一般公開されているそうだが、今の時期は開いていないらしい。一生懸命探すも、どうにも見あたらない。昼ご飯にちょうどいいところを探しつつ街をぐるっと巡るが見あたらない。と思ったら、目の前が大公宮であった。


f:id:taras_saco:20181016204923j:image

 

市庁舎だったところを改装して使用しているため、質素な建物であるということだ。そのまま5分程度進むと、名所であるボックにたどり着く。

 


f:id:taras_saco:20181016205031j:image


ボックの地下部分は7ユーロで入ることが出来、探検気分が味わえる。真っ暗な箇所もあり、そこは怖くて階段を上ることができなかった。外が見える箇所には、たまに砲台が置いてある。こうした一つひとつはおそらくレプリカであろうが(その表記はない)、この15分ほどで回れる小さな街を守るために、いかに重要であっただろうか。この中がまるで迷路のようになっており(迷路のように感じたのは、地図を見ていなかったことに寄る)、時に階段を登り、また降りる場所では「怖いぃ~~~」「怖いぃ~~~」といいながらでないと歩けないようなところもあった。


f:id:taras_saco:20181016205107j:image

 

途中では、「この先はもう行き止まりやで」というお兄さんや、「やぁ、また会ったね、お嬢さん」という紳士など、私はこの迷路から出られなくなっているのではないか、と錯覚するような状況にまでおちいってしまった。とはいえそれほど大きな場所でもないので、すべてを見たことをパンフレットで確認した後、外へ出た。出口を出ると、太陽がまっすぐ差し込み、目がくらむようだった。


ガイドブックでは、「3つの門からグルントへ」と記載があったので、そちらへ向かう。3つの門は小さなもので、変わった建築物であると言うがこちとらベルギーに来てから変わった建築物しか見ていない。ふーんという気持ちでグルントにつながる道を地図で確認していると、カップルに写真を撮ってくれと頼まれた。こういうとき、かけ声は何というのだろうか。よくわからないので「one、two、three」と2枚ほど写真を撮って別れる。そういえば、この旅の間自分の写った写真はディナンで取ってもらったA.Sax(銅像)とのツーショットだけである。なかなか乙な旅行をしている。


さて、グルントの方に回ると、平日のため、行く手を草刈りしているおじちゃんに阻まれている。少し困っていると、「どうぞどうぞ、おーい、開けて差し上げろ」ととても優しい。行く先に進んだところのお兄ちゃんはちょっと無愛想ではあったが、仕事を邪魔しているのはこちらであるので、お礼を言って通り過ぎる。その先には橋があり、ここから低地帯である。先ほどいたところを見上げると、首が痛くなるほど遠い。


f:id:taras_saco:20181016205154j:image

 

この崖を乗り越えることは、一瞥しただけで諦めてしまうような急峻さである。さて、先へ進むと、修復中の家があった。外側のモルタルをはずし、中の石組みが見えているのであるが、こんなもの日本にあったら震度3で倒壊する。このグルント、日中は特に人気もなく、問題なく歩けるが、日が暮れると少し暗くて避けた方が良いエリアであるとのことである。

 


f:id:taras_saco:20181016205219j:image


さらに西へ進むと、アーチの姿が美しい高架橋が見えてきた。あまりに高いところにあるので写真を撮る首が疲れる。


f:id:taras_saco:20181016205250j:image

 

駐車場があるため、2、3の家族はいるが、その先まで歩いていく人たちはいない。少し不安である。歩いていくと、思った以上に人がいた。紅葉した木立のところをゆっくり歩く人や、斜面に座っている人等、思い思いに過ごしている。


f:id:taras_saco:20181016205352j:image

 

リードにつながれていない飼い犬2匹が喧嘩していたので、狂犬病をおそれ少し距離を取った。こちらでは犬をリードにつないでいないことも多い。さすがに電車などの公共交通機関では「リードにつないでください」との記載があるが、それ以外では堅いことは言わないようである。


ずんずん突き進んでいくと、テニスコートや工事中のエリアを左に見つつ、先ほど渡ってきたアドルフ橋が見えてきた。


f:id:taras_saco:20181021095830j:image

 

ここで気になるのは、この高さをこれから上らなければならないということである。憂鬱だ。アドルフ橋を過ぎた先から登り始めるが、汗だくである。登り切ったところではおばあちゃん、おじいちゃんの自転車集団が待っており、私よりよっぽど若いわぁ、なんて思った。


一通り見終わっていたので、ここから駅に戻る。周りには半袖になっている人も多く、ここ数日のうちで最も気温が高いのではないかと思う。そういえばお昼ご飯を食べていない。先ほどパンをくわえた女子が歩いていたのを見たので、電車の時間もある、クロワッサンを購入して歩きながら食べる。駅に着くと、もう電車の出発まで20分程度である。友達へのおみやげでも買おう、とKioskへ行くと、先ほど市街地でたくさん見た旗に記載されていたビールがある。これは、と検索すると、ルクセンブルクのビール会社であるということで、50cl×4本を購入。お客のおじさんに「なんやこのアジア人・・・???」と不審がられたのも納得である。トイレを済ませ、先ほどKioskで水を買い、ホームに向かうと、すでに電車が来ていた。


慌てて乗り込むと、まだ座席が2割埋まる程度の乗車だったが、発車時刻になると5割程度は埋まっており、私の向かいにもおじさんが座った。いよいよルクセンブルクもお別れである。何も問題なく過ごせ、とても良い街であったなぁと後にする。


途中、ナミュールのまちで大学生がたくさん乗ってきた。彼らは三々五々ワロン域内で降りていったので、やはり言語的に障壁があるのであろう。入れ替わり立ち替わり変わっていきつつ、ブリュッセルが近づいてくる。


降りる予定の駅はBrussels-Midiである。ルクセンブルクから乗ってきているので、当然南から杯って行くものかと思いきや、Brussels-Nord、Brussels-CentreからMidi駅に来た。ブリュッセルの北側で働いている友達にわざわざ治安の悪いと噂の南駅に来てもらうなんて申し訳ない・・・と思いつつ、ショルダーバッグのチャックを手前に持って、万全の体制で駅を出る。


待ち合わせのハーゲンダッツで友達が見あたらず、もしかすると外側にいるのかも、と一周するが見あたらない。もう一度中へ入ると、友達が見つかった。どうも、緊張しすぎて見えていなかったらしい。


さて、やはりブリュッセルで行っておきたいのはグランプラスである。以前訪れたときにも、素晴らしい景色だった。友達にお願いして、連れて行ってもらう。


車を降りて広場へ向かうと、圧巻である。白い建物が建物がきれいに照らされ、広場全体が光っているように見える。


f:id:taras_saco:20181016205508j:image

 

観光客も多く、みな写真を撮っている。しかし、何はなくとも腹ごしらえである。こちらでよく食べられるものを聞いたら、ムール貝とロブスターであるというので、ロブスターを食べにPoissons市場へ。


f:id:taras_saco:20181016205619j:image

 

ここは、北海に繋がる運河のあったところで(今は埋め立てられ、広場になっている)、魚介のおいしいお店が多い。Rugbymanというお店でコース料理を頼み、友達にボン~ルクセンブルクの話をする。


f:id:taras_saco:20181016205441j:image

 

ロブスターを食べるときには、蟹をほじるやつと同じ器具をもらえた。ちゃんとロブスターの絵が描いてある。エプロンにもロブスターの絵が描いてあり、観光客大喜びである。料理はどれもおいしく、量も十分である。


歩いて駐車場に戻る途中、怪しい像を見つけた。ブリュッセルのキャラらしいが、そんなたくさん見た覚えはない・・・。

 


f:id:taras_saco:20181016205544j:image


さて、今日はおいしいご飯を食べ、大満足の一日である。本日はおやすみなさい。

10月3日 今再びのドイツ

友達が頑張ってお休みをもぎ取ってきてくれたので、本日も車を出してもらって旅行する。学生時代の旅行と今回の旅行で、ベルギーの主要な街はほぼ訪れたことになるため、ブリュッセルから比較的近い、ケルンの街へ。

 


ケルンに行く前に、デュッセルドルフの街に日本人街があるというので、まずはそこを目指す。途中、高速道路の表示が変わる。ブリュッセルを真西に進むと、オランダを通ることとなる。東京の町田みたいな者である。トイレ休憩のため、高速を降りてみると、普通の街だった。こっちではよく見るサブウェイでコーヒーを購入し、お手洗いを借りる。こちらに来てから思うが、トイレはだいたいとてもきれい。手を拭くところが必ず設置されている。


さて、車に戻って先を急ぐ。ガイドブックを見ていると、さすがヨーロッパ、日本にはない、キリスト教由来の祝日があることを発見。「これはあった?」「これはどう?」と確認していると、10月3日の欄に「ドイツ統一の日」とある。ドイツでは、祝日をきちんと取らなければならないと聞く。一抹の不安・・・。それを吹き飛ばすように、車のスピードを上げる。高速道路の最高速度は、ベルギー120km/h、オランダ130km/h、ドイツ無制限(工事エリアなど、一部例外あり)である。比較的まっすぐな道路が多いため、ベタ踏みを続けると、202kmまで出た。すでに130km/hが遅い都感じられる状況である。周りでここまでとばしている人はほとんどいなかったので、無制限とはいえみなさん理性的に運転されているようである。


f:id:taras_saco:20181016203304j:image

さて、デュッセルドルフの街に到着するも、人影はまばらである。

お店のたぐいもほとんど営業しておらず、目的であった日本語の本を置いている「高木書店」も休業日であった。駐在している間、子供の教育のため、日本語のドリルが人気なのだそうだ。ほとんどのお店が閉店している中、いくつかのお店やホテルは開いており、日航ホテルを訪れてみると、外国人(というのも変だが)も宿泊しているようだった。また、さすがにトラムは動いていた。鉄道、緑化されてますねぇ


f:id:taras_saco:20181016203328j:image

さて、お次はケルンである。高速道路を走っていると、前方左前に2つの尖塔が見えてきた。だがケルンまでは7kmもある。まさかまさか・・・のそのまさかで、これがケルンの大聖堂であった。街中に車を進めると、デュッセルドルフと異なり、大賑わいである。駅近くの地下駐車場に車を泊めて地上に出ると、そこはすでにケルン大聖堂前の広場だった。

 


f:id:taras_saco:20181021100023j:image


縮尺がおかしいのか目がおかしいのか、大聖堂から離れても離れても全容が見えてこない。広場の端まで来てやっと全体がわかるほどに大きい。そしてなんだか汚い。いくつか足場がかかっていたことと、きれいになっている部分があることから、おそらくは掃除をしているのだと思うが、日常的な掃除は届かないのだろう、黒ずみが多数見られた。


中にはいる前に、まずは腹ごしらえ、ということで、目抜き通りであろうHore Str.を進む。進む間に無印良品を発見!日本食に飢えている友達は、無印良品レトルトカレーに助けられているそうだが、残念ながら本日はドイツ統一の日であり、お店は開いていなかった。


f:id:taras_saco:20181016203506j:image

 

さらに進むと、サックス、ベース、ギターのコンボでジャズを演奏しているおじさんたちに遭遇。ちょっと驚くほどのうまさであるが、あまり関わらない方がよい気もするので先を進む。服装がこぎれいだったので、おそらく趣味で演奏している人たちだとは思うが。


さて、人通りも少なくなってきてしまったため、Buergerstrasseを大聖堂に向かって戻る。途中で休業日の香水博物館を覗く。オーデコロンは「ケルンの水」という意味なのだそう。何ともいえない、ちょっと不気味な人形が飾ってあったが、こちらの人はかわいいと思うのであろうか。

 


f:id:taras_saco:20181016203534j:image


めぼしいお店もなかったのでガイドブック1番上にあったのBrauhaus Sionへ。店内は入口の具合から想像していた以上に広い。団体客が余裕で入れそうな具合である。


お手洗いを済ませて戻ってくると、お店の人がビールを置き、コースターに2本線を引いていった。友達に聞くと、食事とビール頼もうかと思っているんだよね~とは言ったとのこと。どうせ頼むのだから親切である。こちらに来てから、一つの料理を一人で頼むのは量が多すぎると感じていたので、サラダとソーセージを注文した。取り分け用のお皿を頼もうとしたが、伝わっておらず追加のビールが来たため、あきらめて大皿のままシェアした。

 


f:id:taras_saco:20181016203631j:image


f:id:taras_saco:20181016203649j:image

 

こちらの飲酒運転については、ビール1杯程度であれば特に問われないとのこと。ケルンの地ビールケルシュ」は20clで出すのが一般的らしく、2杯程度であれば何ら問題ないそう。アルコール分解能力が日本人とは異なるため、ある程度は許容されているのだろう。そういえば、友達が会社で飲み会をする際には、みんな1~2杯程度で終わらせ、泥酔する人は以内ということだった。


閑話休題
さて、おいしいご飯を食べて、いよいよケルン大聖堂である。外観もすごかったが、中も素晴らしかった。ステンドグラスを多用しており、折しも晴天だったことで、室内は様々な色に満たされていた。


f:id:taras_saco:20181016203818j:image


f:id:taras_saco:20181016203836j:image

 

ステンドグラスは、ものによっては幾何学的なものもあり、建築当初からすべてあるわけではなさそうだったが、どれも美しい。また、床のモザイクも緻密で、これを今作るとしたら何億円かかるか、どこの会社っぽいか等、話題は尽きなかった(おそらく鹿島だろうねってはなした)。


今日、友達は夜に用事あり、ボンまでは時間的にいけそうにないことから、ケルン解散となった。まだ時間があるため、ローマ・ゲルマン博物館へ。


f:id:taras_saco:20181016203942j:image

 

大聖堂の隣にあるこの博物館では、周辺で発掘された紀元前からの遺物が多く展示されている。ただ、説明の多くがドイツ語しか書かれていないため、詳細な内容はわからなかったが、20世紀も前に、今と遜色ないガラス細工があったことなど、多くを知ることができた。


本当は、チョコレート博物館にも行きたいところだったが、近くの駐車場が満杯だったため、諦めて友達と解散する。ここから再び一人旅である。


まずは、泊まるところが確保されていないと不安で仕方ないので、ボンのホテルを確保する。ベルリンと同じ系列のホテルにしたのでひとまず安心である。バウハウス展示館を訪れることができなかったため、ケルンの現代美術館にて、その欲を満たすことにした。


現代美術館は、これも大聖堂隣にある建物で、カンディンスキーピカソアンディ・ウォーホール等が飾ってあった。


f:id:taras_saco:20181016204101j:image


f:id:taras_saco:20181016204155j:image

 

オステンドの現代美術館はよくわからなかったが、こちらの方はとても楽しく見ることができた。特に、アンディ・ウォーホール等のアメリポップアートを見ていると、身近なところの芸術を見いだすことへの熱量と、「芸術」への反骨精神みたいなものを看取することができた。これだけの量の作品が一同に会し、常設展として普段から見ることができるというのは、強みであるなぁと思う。ただ、友人も言っていたが、こういうところにいるのは白人が多く、芸術へのとっかかりには差があるのではないか。


さて、十分に堪能したところで、閉館時間が近づいてしまった。作品集を買う時間もなく、慌てて駅へ到着すると、電車が30分遅れているようだ。今回の旅は電車トラブルばっかりだなぁと思い、何とか切符を買って、時間までホームで過ごす。どうやら該当する電車が来たようだが、不安だったため優しそうなおじさんを捕まえ、Bonnに行くか尋ね、お互いBonnボンBonnボンうるさくなってしまった(最初、Bonnが伝わらなかったのか、行かないよ?といわれたものの、Bonn?Bonn!行くよ行く!とのこと。)


f:id:taras_saco:20181016204234j:image


2等席に乗り込み、しばらく車窓を堪能する。IC(インターシティ)とはいえ、日本の新幹線と違い、駅をとばすだけでスピードは上がらない。何なら山手線より遅いところも多い。ぼんやり30分程度乗っていると、今夜の宿、Bonnに着いた。


すでに時刻は19時、日没は19時半頃である。駅前は改装中でベニヤ板の囲いがあり、何とも暗い印象である。歩いてもいけないことはなかったが、少し怖かったので、グーグルに聞いて最寄りのバス停まで歩く。


バス停で切符を買っている間も、なんとなしに怖い雰囲気がある。気にしすぎな気もするが、バスを待っている間、こちらを目指して歩いてくるような人がいたため、到着したバスに急いで飛び乗る。街の雰囲気がわからない夕方に到着することは、今後一切やめようと決めた。


さて、宿の近くに着いた。もう暗いし、外を出歩くのも怖いので、最寄りのスーパーでご飯を買おうとしたところ、本日はドイツ統一の日、スーパーは閉店している。仕方なしにホテルへ直行し、部屋で明治チョコレートでしのぐことに。あまりおなかが空いていなかったのでこれで十分であった。せっかくなので早寝しようと思ったが、この日記を書き出して、思ったよりも寝るのが遅くなってしまった。


本日はこれにておやすみなさい。

10月2日 ドイツの暗部へ

昨日はほとんど観光できなかったので、今日こそは!と朝も暗いうちから起き出し、ルート確認。ホテルを出て昨日のスーパーでパンを購入し、広場で食べる。スーパーでは日本人らしき若い男の人とおばちゃんがいて、彼らの買い物内容を見ると在住しているようだった。


f:id:taras_saco:20181016202418j:image


こちらの買い物は、ベルギーと同じく、着席した店員のところにコンベアーで食品が運ばれ会計し、客が袋にいれるタイプである。コンベアーに食品を置く際には、仕切り板を置くこと。みんな置き方が雑だ。
袋は持参しないと袋代がかかる(しかも結構高い)のはベルギーと同じだが、ドイツではペットボトルの規制が厳しくて、1本辺り25セント追加される。お店などでペットボトルを返すと、25セントが戻るとのこと。
ヨーロッパは全般に環境意識が高いというが、国によって様々らしい。


ちなみに、タバコについては、路上喫煙が普通になされていた。タバコ用のゴミ箱も街に多数ある。ただ、ベルギーでは全体の喫煙者数が日本に比べ少ないので、そこまで気にならなかった。


f:id:taras_saco:20181021100222j:image


閑話休題
今日はナチスドイツの遺構を中心に見て回る予定である。まずはベルリンの壁が残るイーストサイドギャラリーへ。


U-bahnに乗ってWarschauer St.駅へ向かうところ、Mendelssohn-Bartholdy-Parkで突然下ろされた。これは一昨日DVDで見た、ロケみつ@ヨーロッパでさきちゃんが遭遇していた工事による通行止めだ!とテンションがあがり、いそいそとみんなと一緒にバスへ乗り換える。やはり工事だったようで、Schlesisches Tor駅でU-bahnに接続した。
ただ、ここまで来れば目的地であるイーストサイドギャラリーは既に川向こうである。橋を渡り、先へ向かうが、この橋がなんとも言えず汚い。レンガ造りの素敵な橋だが落書きばかりである。


f:id:taras_saco:20181021100456j:image


イーストサイドギャラリーに着いたがここも落書きばかりである。汚い。物によっては落書きされないもの(有名なキスの壁)もあるが、まぁ半々程度。どうも、定期的に更新されているようで、真新しいものもある。

 


f:id:taras_saco:20181016202554j:image


壁はおよそ4m、厚さは太いところでも50cm程度だろうか、こんな薄っぺらな壁で突然分断されてしまったのか。

 


f:id:taras_saco:20181016202632j:image

 

端から端まで歩いていると、ヴァイオリンやアコーディオンをひく人が定期的に現れる。朝早くからご苦労様ですねぇ、と心の中で呟くにとどめ、最寄りのOstbarnhofへ。

 


f:id:taras_saco:20181016202712j:image


次の目的地、Juedisches Museum Berlinへ。S-Bahnからバスに乗り換える。
同じバス停で降りたスペイン人のおばちゃんたちと一緒に中へ入ったが、おばちゃんという生物はどこの国でもおばちゃんである。騒がしい。


f:id:taras_saco:20181016202755j:image


入口では厳重なセキュリティチェックを受ける。上着を脱ぐまでではないものの、出国審査のように、人と荷物と別にしてゲートを抜ける。おそらく、政治的に施設に危害を加えかねない人も来るのではなかろうか。


あまり詳しく調べずに来たために、中の展示物に驚くばかりだった。そもそも建築物としても大きく話題になったらしく、通路がジグザグになっている。また、ユダヤ人の生活やその迫害の写真などの展示のほか、突然フラッシュの焚かれる部屋や、(なんとか)タワーと名付けられた暗く静謐な空間、そして顔に形どられた金属板を踏みつける体験など、各種取り揃えてあった。

 


f:id:taras_saco:20181021100611j:image


この金属音が実に耳につく音で、人の顔を踏みつけにする居心地の悪さで、なんとも言えない苦しい気分になった。


さて、まだナチスの痕跡をたどる旅は続く。次は、バスに乗ってWall Museum-Checkpoint Charlieである。バスを降りたところから、何ともいえないすさんだ空気を感じる。ここで一番スリの気配がした。繁華街に入ったためであろう、身なりの汚い人が多く見受けられた。どうも目を付けられた気配がしたため、急ぎ、博物館に入る。ここで、Berlin Welcome Passの出番である。割引をしてもらい、パスを購入すると、入口はここではなく、角を曲がった先であるとのこと。


入口を入ると、そこには大量の展示物と大量の説明が。一つの展示物に対し、フラマン語、フランス語、英語、ドイツ語の4カ国語がすべて同じ大きさで書いてあるため、壁いっぱいに説明がされているのである。


1階は主にRaoul Wallenberg氏の功績が記されている。スウェーデン人の外交官で、外交官特権を使用しホロコーストからハンガリーユダヤ人を救った人物で、その後、ロシアに連行され、行方がわからなくなっている。彼のことを寡聞にして知らず、説明を食い入るように読んでしまった。さらに上の階にいくと、1階から想像するよりもとても広く、また内容も充実していた。1953年の東ベルリン暴動や、ベルリンの壁崩壊時の映像等、ベルリンに関する資料だけでなく、朝鮮半島問題やイスラエルキング牧師による黒人解放運動等、実に様々な問題が取り上げられていた。すべての説明を読んでいくことは時間的に難しかったので、全体をざっとみることにとどめ、博物館を後にした。


こうしてみると、日本が落ち着いているのもたった数十年の話にすぎず、平和な状況を維持していくためには並々ならぬ努力を積み重ねなければいけないのだと感じた。


さて、お昼の時間もとっくに過ぎているが、まだブランデンブルグ門を見ていない。途中にベルリンで最も美しい広場、Gendarmenmarktまで歩いた。


f:id:taras_saco:20181016202945j:image

 

どうも感覚が麻痺しているようで、「広いな~」という感想しか出てこない。さらに、突然本降りの雨が降ってきて寒い。早々に広場を後にし、StadtmitteからU-BahnにてPotsdamer Pl.、S-Bahnに乗り換えてBrandenburger Torに着いた。駅を降りると、中央分離帯にカフェを挟むような広い道路の向こうに、Brandenburg門が見えた。なにもないところで見ればもっと印象深かったのかもしれないが、この日は昨日から続くイベントの影響で、バリケードや警察車両でごちゃごちゃしており、感動とはほど遠い状況であった。真っ正直にいえば、「これのせいで昨日動きづらかったのだ~」と恨みがましい気持ちである。


f:id:taras_saco:20181016203022j:image


とりあえずは近寄ってみないことには始まらない。先に進んでみると、インフォセンターが見つかったので、パンフレットがもらえないか中に入ってみた。中はほっとする暖かさだったが、結構混んでいたため特になにももらわず出てきた。そのまま人の流れに沿って歩いていくと、イベント会場の入口にたどり着いた。鞄チェックを受け、中に入る。音楽のイベント等は18時開始のようで、まだ大きなイベントはないようだ。18時15分発の飛行機を考えると、ここを15時に出れば余裕であると踏んで、イベント会場でカリーヴルストとドイツビールであるホフブロイをいただく。

 


f:id:taras_saco:20181016203050j:image


カリーヴルストはベルリンの名物だそうで、ウィンナーにケチャップベースのオリジナルソースとカレー粉をかけたものである。味はなんというか普通・・・。おそらく暖かい日にビールと一緒に食べると最高だと思うのだが、どうにも寒い。周りを見てもビールを飲んでいる人よりもコーヒーを飲んでいる人の方が多い。あっという間にウィンナーとPommes(フリッツのこと)が冷めていく。


ちなみに、ビールを購入したときに、デポジットとして1ユーロを預け、代わりにトークンをもらった。ドイツ人はトークンが好き、らしい。


さて、そろそろいい時間である。空港に向かうバスに乗るため、最寄りのバス停に向かう。いったん別の方角に向かってしまっていたため、慌てて戻ると、バス停の電光掲示板に怪しい文字。停車中のバスの運転手に問い合わせている人の声を聞いていると、どうも今日はバスはここが最終だよ、とのこと。この路線はないよ、と。


さてどうしよう!ここから空港に行くバスがないならば、別の方策を考えるしかない。ビールを0.5l飲んでほろ酔い気分も一気に吹っ飛んだ。空港を降りて使ったZoo行きのバスはここと全く違う路線であるから使えるはずである。とりあえずUnter den Lindenを東に進むも、どうも駅まで遠いため、Berlin Welcome Passと一緒にもらった地図を広げると、すでにぼろぼろになっていたそれは2つに裂けてしまった。まったく見づらいなぁ!と半分八つ当たりしつつ、S-BahnでPotsdamer Pl.、U-BahnでZoo駅が最も効率的である用なので、小走りになりながら向かう。「焦っているときに走り出してしまう、というのは、心と体が実に直結していておもしろいなぁ。恋する男子は走りがち、なんてのをついこの間みたが、まさに焦っているのだろうなぁ」等とくだらないことを考えながら、電車に乗る。


今考えれば、Google Mapに頼れば適切なルートを瞬時に出してくれたと思うが、スリに気をつけよう、スマホはあまり出さないようにしよう、と気をつけていたため、その頭が抜けていた。焦ると本当にだめだなぁ。


さて、何とかZoo駅に到着である。東側にあるバス停にはそこそこ人がいる。あと7min、あと6minと減っていく電光掲示板を焦る気持ちで見つめていると、また7minの表示が。これは次のバスのことでは?もしかして空港行きのバス来ない?と、周辺がざわつき始める。隣のバス停は次々とバスが来るため、みんな道路の来し方を見つめる。友達に勧められて、念のためUberは登録してある。配車をお願いしようとアプリを立ち上げたところで、ようやく空港行きのバスが来た。


バスの座席についてようやく一安心である。ただ、どうにも信用ならないので、常にGoogle Mapで現在地を確認していた。帰ってから友達に聞いてみると、こちらのバス停の表示は、登録してある時刻表をただ流しているだけで、急な変更に対応していないことも多いということだった。Uberを配車仕掛けたのは、方策としては正しかったということであろう。


さて、かなり混雑した空港行きバスはようやっと目的地に到着した。昨日オンラインチェックインしたところでは、まだロビーが決まっていないということだったので、正面入口にあった案内板の見えるカフェに席を落ち着ける。Brussels空港は国内線、国際線含めすべて1つの検査場でまとめて行うが、Tegel空港は別であるらしい。しばらく待っていたが、どうにも自分の乗る飛行機の案内が出ない。よくよく確認してみればBoarding Timeが1815で、出発は1845だった。あんなに焦ることなかったやんけ・・・とがっくりしつつ、スマホで搭乗案内を確認すると、すでに決まっていた。


早めに入っていた方が良かろう、と検査場に行くと、どうにも空気がぬるい。こういうところだとしかめっ面した人が厳格な空気を醸し出しながら検査をする者だと思っていたが、みなさんにっこにこである。


検査場を抜けるとすでに狭い待合所となっていた。先ほど空気がぬるかったのも、EU圏内に行く飛行機のみの検査場であったからではないか。出国審査もないし。しかし、待合所にあるのはちょっとしたカフェとちょっとしたお土産屋さんだけである。友達に、もしあればつまみになるようなものがほしいと言われていたが、どうにも少ない。


とりあえずお土産屋さんにはいると、店員に「見てるだけかい?」といわれたので、パンフレットにあるとおり「見てるだけだぜ☆」と答える。ちゃんと伝えるのが礼儀らしい。いったん中を冷やかして、ベルリンみやげになりそうなSportsのチョコと、友達へChioのチップスを購入。また、機内で何も出ないため、水を3ユーロで購入。スーパーで買えば0.5ユーロなのに高い!


致し方ないのでこのまま待ち、搭乗する。どうやらこの空港、いろいろなところがだらだらしているのか、機械が古いのか、搭乗ゲートでのチケットスキャンが2台中1台しか稼働しておらず、その読みとりも3人に1人は突っかかる有様で、結局搭乗が完了する時にはすでに離陸予定時間を過ぎていた。


結局、Brussels空港に到着したのは予定より30分程度遅れてしまい、迎えに来てくれた友達を待たせてしまった。


21時前だったので、外で夕ご飯とすることに。友達の会社の人がよく使うという中華料理屋、通称ザベ中(Zaventemの中華)へ。ベルギーでは豆腐を常温紙パックで販売しているらしく、日本の感覚からすると購入するのが怖いとのこと。もしかすると、日本の用に何でも生食をする文化というのは他国にないのかも知らんと思う。ここの中華はおいしかった。店員(店長?)はフランス語の人らしく、常連の席でずっとワインを飲みながら話していた。楽しそうで何より。


さて、おうちへ帰るとすでに23時近く。本日はおやすみなさい。